2012年 03月 07日
年寄りっ子 |
を持っていなかったのでお皿の上で記念撮影。刻んでお味噌汁に春の香り。
エキサイトブログの管理ページに「レポート」というのがある。
そこにアクセス数などと一緒に「キーワード検索」というのがあって、それが面白い。
その言葉から我が家へ辿り着いてくださった、ということらしい。
昨日はなぜか「竹の子掘り」がトップであった。
タケノコの記事は書いた覚えがないのに、どういうわけだろう。
「地下足袋」「サトイモ洗い棒」というのもあった。これはどこかで言及していたかもしれない。
しかしいずれも期待はずれの内容であったろうなあ。
可笑しいのは「年寄りっ子は三文安い」というキーワード。一度や二度じゃない。
そんな内容の記事を書いたことはないと思うが、
事実、三文安い年寄りっ子なので「なんでバレた?」とビックリだ。
私は父の実家で生まれた。
母は働いていたのでおばあちゃんが私の一番近くにいる大人だった。
この祖母と過ごした日々は特別だったので、いつかちゃんと書けたらいいなあと思う。
祖母との時間は宝ものだったが、最近ふと思い出したことがあった。
朝のドラマで、だいぶ前の回だが、女性たちが木の持ち手のついた布バッグを持っていた。
それが、祖母の家にもあった。
祖母のバッグは洒落ていた。生成りのキャンバス地に柔らかな色合いの草花が散っている。
男の子と初めて海へ行くことになった17歳の私は、ぜひともそれを持って行きたかった。
「おばあちゃん、貸して」
優しい祖母は当然、可愛い孫に喜んで貸してくれるはずだった。が。
「嫌よ。大事だから貸さない」
おばあちゃんって、そういう人だったなあ、とニンマリしてしまう。
母が、自分勝手な夫のことを訴えたら
「子どもなんて神さまからの授かりものなんだから、私にはどうにもできないわ。
あなたもまあ、そんな気分でいたらいいのよ~」
おばあちゃんって、そういう人だった。なんというか、さらさらしていた。
それに感心した母もまた、なかなかえらいヨメだったと思ったりする。
そういえば、母と祖母が険悪な雰囲気になったのを見たことがない。
実の母娘以上に、ふたりは仲がよかった。
だから私は子どもの頃、「年寄りっ子は三文安い」って、褒めコトバだと思ってた。
お年寄りからいいこといっぱい授かった子はお得だよ~、っていう意味かと。
ばかだなあ、やっぱり、三文ほどお安いようで。
山本ふみこの「家族のさじかげん」にこんな一節がある。
「祖父も祖母も、子どものわたしを、少し大人になりかけたわたしを、そして成人したわたしを、どの年代においても、決して評価したりしなかった。いつもただ、ともにいてくれただけだ。」
私の祖母も、そうだった。あんなひと、滅多に、いない。
今日は我が家のばあちゃんはデイサービス。つまり「ヨメの休日」である。
ばあちゃんを見送ったその足で、ムラの中をひとりでゆっくり歩く。
雪の壁から飛び出した枝先に
しっかりふくらみはじめている芽。
木々の根元からまあるく融け始めた雪。
山道を歩くと足の下からごうごうと
雪融け水の音が聞こえる。
ああ、いいなあ!
春になると何もかも、新しくなるようだ。
新しくなるのはあなたもよ、と
祖母の声が聴こえてくる。
by wildrose53
| 2012-03-07 12:25
| ヨメの休日