2012年 03月 18日
出会えなくても |
曇天の日曜日。
「おめぇは出かけてらんにぃぞ!」
はいはい、わかってますって、お彼岸ですもんね。
しかしなあ、ばあちゃんよ。もうちょっと言い方ってもんが、さ。
「おめぇがいると助かるんだわい」とかなんとか、おだててみたらよかんべが。
そこまではムリとしても「今日は家にいてくろよ(やさしくね)」とかさ。
するとヨメもいつもの1.5倍はサービスしましたぜ。
そもそもこの家の盆暮れ正月彼岸に出かけたことなんぞ、出奔した時期以外、ないよねえ。
(註:「出奔」どーにもこーにもならず進退窮まって家を出ること。逐電、失踪とも。)
というような「いつものことだが、やれやれだ」ということが今朝もあったおかげで
書きたくなった。
穏やかな日常は望むところだが、そればっかりだったら何も書くことがない。
昔、強烈なものすごい絵を描く友だちがいた。
公募展では入賞、雑誌にも出る、個展もバンバンやる。それがぱたりと描かなくなった。
「結婚したらさー。シアワセすぎて描く必要なくなっちゃった」
笑わせようとしたらしいが彼女自身が笑ってなかった。まあ、色々あったのだろう。
でも、そんなことはたしかにあるのだろう、と思った。
できることなら波風立つ人生を送り、再び描いてほしいと無責任に願っている。
ブログを始めたら、時々「ハルさんはやさしい」と言われるようになった。
これは少々面映い。ちょっとうろたえる。
「やさしい」というのはなんだかゆっくりおっとりした雰囲気だ。
ぼんやりしているかのようでもある。瞬発力より持久力が試されているような気もする。
じんわりとあたたかい。しかもそれが冷めない、という感じがする。
まことにやさしいひとは、合間に怒ったりわめいたりしながらも相手のことを思っている。
相手がどうあろうと自分の態度は変わらない。
果たしてハルさんはほんとうにやさしいひとでしょうか。それはまだわかりませんよ、フッフ。
「自分探しの旅は終ったの?」などと言われることがある。
ちょっとバカにされたのかもしれないな、とあとで気づいたりする。
けれど私は不思議に思う。自分自身を探す、って、当たり前のことじゃない?
人生これ全編「自分探しの旅」ではないのか。
まあ、そういうことを話したり読んだりするのがキライな人も多い。
めんどくさいことの好きな人にしか、通じない。
だからこういう記事を書くとアクセス数はぐっと減るだろう。それがどーした。
というような気分なんである。
「出奔」した旅先には、私のようにめんどくさいこと抜きには生きられない、という人々がいた。
ボロボロになった難破船があちこちで座礁してる、という感じ。もちろん、私も難破船だ。
そこで破れた帆を繕う元気の出てきた人や
まだまだ打ち揚げられたばかりで息も絶え絶えな人たちといろんな話をした。
あの時間は、私の人生にはどうしてもいつかは必要だったんだろうと思う。
宝ものだ。
なんとなく心許無いとき、人の気配にばかり敏感になっているとき
あのとき教えてもらった言葉を思い出す。
「ゲシュタルトの祈り」
私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。
フレデリック・パールズ
最後の一行が長いことわからなかった。出会えなくても素晴らしい、って何?
今はよくわかる。この一行こそが私に必要な言葉だった。
誰かと心が通じ合うこと、愛されること、そればかりを求めていると自分を見失う。
伝わりますように、と願いすぎると、出てきた言葉が自分とかけ離れていたりする。
それは一番イヤだな、と思う。
多くの人と出会うことは素晴らしいことに違いない。
しかし私にとってもっとも大事なのは、自分自身であることなのだ。
優しさや思いやり。それは差し出すものなのだから。
差し出す我(われ)がなかったらできないことだろう。
ええと。また長くなってしまった。しかも話題がずれたきり、どうしても戻れない、とほほ。
ブログの場合、一行に入りきる文章、とか全体の量とかをこれでも気にしてるんですが。
それはお読みくださる方の負担軽減のためでした。実際はどうだかわかりませんが。
しかし長すぎたり内容が個人的な内面のことに及ぶと敬遠されるのでは、と
いつのまにか「恐れ」のようなものが私の中にあることに気づきました。
その辺りが本日のテーマかな(無理矢理)。
そろそろそういうところに収まりたくない感覚になっております。
書きたいことと、この場所の性格(私が思うところの)との間に微妙なズレを感じたりも。
それこそ自分の日記なんですから好きにしたらよろしいのだが。
どうも最近、中途半端に長くなるのはそれだけ苦悩が多いのです。なんちゃって。
本日もお読みくださった方、まことにありがとうございました。
(あ。首は、書きたい気持ちを優先できるほどに回復。ご心配くださった方、感謝♡)
by wildrose53
| 2012-03-18 17:09
| ヨメの休日