2011年 06月 05日
光が届きますように。 |
大震災のこと 原発のことをずっと考えています。
考えてはいるのですが
語る言葉をわたしは持たない。
福島県に住みながら
何もしていない自分を恥ずかしく思ったり
正直に告白すると実は怖かったり
いろんな感情がぐるぐるしています。
先日、ある場所で偶然、避難してこられた女性に出会いました。
親戚を頼って奥会津へいらっしゃったのです。
半袖のわたしを見ると「すごい。寒くないんですか」。
その方は何枚も下着を重ねている、と笑いました。
お年を伺うと昭和8年生まれ。わたしの母と同じ78歳です。
「毎朝、泣いてしまって。帰りたくて帰りたくて。
おとうさんは津波で・・・。
家はなんとかあるけど
原発のことがあるから帰れない。
帰りたくて帰りたくて 泣いてばっかりで」
「でもね。山のひとたちはみんな優しい。
よくしてもらってます。
わたしも元気出さないとね」
ほんとうは ほんとうは
見知らぬ土地でお辛いことも多いのでは。
慣れない寒さにも震えておいででしょう。
でも、その方は寂しそうに笑っておられるのでした。
福島県はとても広くて
浜通り・中通り・会津地方と
三つの呼び名の地域に分けられます。
浜通りは地震と津波、そして原発の被災地。
中通りも放射能の危険に侵されています。
わたしの住む奥会津は危険区域から約120キロほど離れているのです。
でもいくらここは大丈夫ですよ、と言われても
この地で生まれ育ったひとでさえ
毎年 泣きたくなるほどの数メートルに及ぶ積雪。
毎日の「雪かたし」は身も心もぐったり。
会津の厳しい冬を温暖な地域の方が耐えるのは過酷なこと。
なんだか胸がぎゅっとなって
その方の手を思わず握ってしまいました。
オニグルミまたはサワグルミ
実は名前が特定できません。
土地のひとに聞いても「クルミだべぇ」。
垂れ下がっているのは雄しべ。
樹皮はかごなどの編み組細工に、実は食用に。
川沿いなどに生え、天をつく高さに育つ。
ヤブデマリ
以前の記事でご紹介した「ムシカリ」はヤブデマリの間違いでした。
ムシカリの花びらは5枚。ヤブデマリは5枚のうち1枚が小さく一見、4枚に見えます。
ほの暗い初夏の草むらに映える白い花の群れ。
その帰り、いつもの山は
初夏のまばゆい光に満ち。
この地で覚えた木々の名前を
ひとつひとつおさらいして歩く道。
わたしが都会にサヨナラして
ここに暮しはじめたのがこの時期でした。
それは自分で選んだこと。
自らの意思でなく
生きる場所をもぎ取られたひとたちに
光の届く日の来ることを祈ってやみません。
by wildrose53
| 2011-06-05 21:15
| 3.11以後